13曲目『落日』東京事変
~中毒性のある悲しみ~
どうも、鈴木です。
悲しい過去を背負って生きている人にはどこか影がありますよね。
そういった人に対して羨ましさを感じる事は無いものの、「悲しみ背負って生きる」という姿にはロマンチックでニヒルな印象を受け、少し憧れを抱いてしまいます。
そんな感覚が浅はかだという事は重々承知ですが。
タバコを吸う人に対しても同様の憧れを抱く事があります。ただタバコを吸っているだけで、どこかニヒルで、何か色々なものを背負いつつも現実と戦っている雰囲気が醸し出されます。
大学生時代、その憧れがあって一時期タバコを家に置いている事がありました。
でもそれは本当に置いているだけで、結局最後は新品のまま捨てました。笑
訳が分からないかもしれませんが、当時はタバコが家にあるだけでワルになれた気がして妙な高揚感がありました。
結局、今までの人生において吸ったタバコの本数は累計でも1箱分程度(ダースではなく)だけだと思います。そもそも体に合わないのです。
なのでコーヒーを飲む事でその高揚感を味わう日々です。
話を戻します。
『落日』はまさにそんな「悲しみの高揚感」のようなものが感じられます。
東京事変の曲ですが、椎名林檎ソロの曲と言われても違和感のないくらい、内省的な世界観の作品になっております。
東京事変の曲の中で最も好きな曲です。(『心』と良い勝負ですが)
この曲の魅力はとにかく、哀愁のあるメロディーと、それを引き立てる歌詞です。
というかこのメロディーにはこの歌詞しかないでしょ、と思ってしまうほどです。
太陽や海や風。そんな自然とともに大昔から存在していたのではないか、とすら感じてしまいます。
恐らくそれは聴き手の心に訴えかけるエネルギーの強さがあるのだと思います。
歌詞の内容は抽象的なので、何を意味しているのかが明確には分からないのですが、僕の見解では「大切なもの(人?)を失った。その人との思い出を振り返るがどこか全て悲しく、虚しい。今は半ば開き直って前を向こうとしてる。こんな出来事だって、自然の摂理の一つに過ぎないんだ。」
と、こんなイメージで捉えております。
この曲もまた椎名林檎的価値観が全開の歌詞です。
『人生は思い通り』『旬』などにも通じる「ネガティブの先にある穏やかなポジティブ」が感じられる歌詞になっています。
泣いた後の笑顔、大雨の後の太陽には、何にも負けない本物の明るさがあります。
歌詞の事に触れてはいますが、この曲には言葉でも表せないような感情が掻き立てられます。
これは地球上で自分にしか分からないかもしれませんが、、、
小学生の頃、家族でドライブした時、山道で車の窓を開けた時に嗅いだ木や土のにおい、そして木漏れ日の中でわずかに揺れる葉っぱを思い出すのです。なぜ思い出すのかは分からないのですが、なんとも言えない気持ちになります。
MV?は林檎さんがどこか田舎の路面電車の中で1人歌うという内容でそのシチュエーションも画質もノスタルジーで見入ってしまいます。
悲しい曲も人を元気づけるのですね。
さあ、もう笑うよ。
『落日』東京事変