9曲目『イメージ』THE BLUE HEARTS
~とうとう現れた本性~
どうも、鈴木です。
人って、ついつい周囲から良く思われたいと考えてしまいますよね。
僕自身、そんな考えを持つ事に小さな罪悪感を抱いてしまいます。
しかし、それは仕方ないことの様にも思います。生きていく為には周囲からの支えは大切ですから。
でもやはりあまり偽りの無い振る舞いをしたいとも思う中でキリの無い葛藤が起きたりもします。
THE BLUE HEARTS(以下ブルーハーツ)のキャリアにも同様の葛藤が感じられます。
ブルーハーツは8枚のオリジナルアルバムを発表しておりますが、(あくまで僕の中でですが)活動時期(とそれに伴う作風)を以下3つの期間に分類する事が出来ます。
①初期(アルバム1~3枚目)
→『リンダリンダ』『TRAIN-TRAIN』『人にやさしく』等、「世間がイメージするブルーハーツ」の時代。純粋かつ青い(若い)印象。またはそれを売りにしているように思います。
②中期(アルバム4、5枚目)
→①よりも自然体かつ、ややブラックで皮肉っぽい部分もある。シングル曲は『情熱の薔薇』『too much pain』をリリースし、一見「変わらぬブルーハーツ」ですが、中身は大幅に変わって、より内省的というか趣味に走ってる、そして病んできている印象です。
③後期(アルバム6~8枚目)
→②の期間を経て、またストレートなエネルギーを取り戻しました。まさに心機一転、起死回生といった表現がピッタリです。ただ①とは全く異なる雰囲気で、例えるなら①は子供の元気さ、③は大人の元気さです。
つまり説得力もありつつ、どこか投げやりな感じもあるのです。
その中で僕が(今のところ)最も好きなアルバムが『BUST WASTE HIP』(②の時期)です!
魅力を言語化するのが非常に難しいのですが、要点をまとめると以下の通りです。
・アルバムジャケットがインダストリアルなデザインで退廃的かつ格好良い
・歌詞がブラック、毒々しくて格好良い
(金属バット、殺し、首吊り台、死んでる、安っぽいスリルなど、物騒な歌詞が多い)
・ヒロトの声がガラガラでもなく、優しい感じでもなく、硬派で爽やかかつ男前で格好良い(このアルバムだけ声が独特)
「なんかもう優等生ぶるのも疲れたし、どうでも良くなったわ、そんな事よりもやりたいようにやるし、なんか全部がどうでもいいや」という感情を音楽にするとこのアルバムが出来るのではないでしょうか。笑
このアルバムは全体を通してなんとなく暗い印象を受けます。
それはもう曲調とか、歌詞とかそういう次元の話ではなく、ただただ漠然と暗雲が立ち込めているんです、このアルバムには。
そこにまた狂気と格好良さを感じます。
でも僕はそんなアルバムを聴くと活力が湧きます。何故だろう?
恐らく「どうせ世の中下らないから、何にも期待せずに生きよう」と気が楽になるからだと思います。
そんな名盤は「イメージ」で始まります。
これがまた、皮肉一杯で、演奏は格好良くて、もう本当にヤられます。
サビの「イメージ/イメージ/イメージが大切だ/中身がなくても/イメージがあれば良いよ」という歌詞から、もうマーシー(作詞作曲)が心配になってきます。笑
どんな嫌な事があったんだろうか・・。
曲調がまた格好良い!
ミドルテンポでダルさ全快のメロディー。
真夏の太陽を、汚いバケツの水面が乱反射するような気だるさと狂気。
そんなエネルギーをこの曲から感じます。
以前紹介した『1000のバイオリン』同様、マーシーの名曲は最初から最後まで全ての歌詞が秀逸なんです。
この『イメージ』もまさにそれです!
良い歌詞を紹介しようとしたら、全文を掲載する事になってしまいます。笑
『BUST WASTE HIP』のブルーハーツの様に、開き直りの怖さを心にしまって生きていこうかと考える今日このごろです。
THE BLUE HEARTS 『イメージ』